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part.1 国土と人々 part.2 国土づくりの歴史 part.3 技術の歩み
合口と多目的ダム

 時代が下がるにしたがって、水資源開発の余地が乏しくなり、新規利水の参入時に既存水利との間に水争いが生じる。近代以降は、急激に伸びてきた都市、発電など、異なった水利用部門と、渇水量の限界いっぱい近くまで占める農業水利との間で水争いが生じることが多い。近世以前は領主などの権威のもとに村々で管理されてきた水配分ルールが、明治になってからは、発電所の設置や河川改修に伴って、深刻な調整問題となったのである。合口は、河川に設置された何系統もの取水口を1か所にまとめ、新しい水利系統に統合する手法で、取水量の確保と配分だけでなく、施設の維持管理面からも有効な手法である。富山県の常願寺川では明治年間に水害に伴う河川改修で、黒部川と庄川では昭和初頭に水力発電を契機として、扇状地をかんがいする諸用水を合口した。農業水利だけの事情では、古田優先と上流側の強さで固まっているため、上・下流の対立を緩和する動機がない。合口には、こうした外部要因が動機となることが多く、近年では河床低下もその一つである。合口に際しては既存の上・下流の関係が残るなど、不十分な面もあったが、一定の成功を収めた。
 一方、昭和20年代に大水害が頻発し、その後もエネルギー対策としての水力発電や工業用水・上水道などが重要になって、すべての要求を満たすべく多目的ダム方式が生まれた。この方式は、ダム建設に伴う水没者に対する補償やダムの運用、放流水の取水に新しい問題を提起した。新規利水者は、ダム建設の許可と費用負担を背景に既存水利との関係が希薄になりがちで、紛争が生じやすい。洪水調節と利水など相反するダムの運用が必要であり、利水のなかでも異なる部門で異なる水利用の方法が必要となるからである。/現代は、こうした調整と施設再編がますます必要な時期にきている。農業水利は、渇水時の水配分、過剰開発の防止と新規開発との調整、水源涵養への配慮、水利組織の整備などの機能とともに豊かな伝統をもっている。河川での最大の利水者である農業用水の、今後の河川での水利調整に当たっての役割は、ますます重要になる。
利根川上流の矢木沢ダム
利根川上流の矢木沢ダム
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