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1.大規模用水事業が進められるに至った背景
2.国営両総用水事業の経過
3.生まれ変わった両総~両総農業水利事業の概要~
4.房総導水路事業の実施
5.地域用水機能

icon 1.大規模用水事業が進められるに至った背景



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 両総用水の地域は千葉県の北東部にあたり、利根川の支流である大須賀川沿岸と九十九里浜に注ぐ栗山川沿岸並びに九十九里浜に沿って広がる長生郡一宮川までの九十九里平野の大部分の耕地よりなっています。本地域は、太平洋に面しているため、好気象に恵まれながら背後の丘陵地帯の分水嶺が平野部に接近して走っている関係で、耕地面積に対し集水区域が少ないため、大部分が天水田であり、一度旱天が続くと水田は荒野と化し、一方、利根川沿岸佐原地域は低湿地帯のため、年々水害の脅威にさらされ、これにより農民の努力も自然条件のため水泡に帰する有様でした。
 このため、昭和に入ってから九十九里浜一帯の用水補給と利根川沿岸低湿地の排水改良の計画が個々に叫ばれていたが、工事の困難な事と経済的な理由からなかなか実現されませんでした。
 県では丘陵地帯に溜池を設置し、また既存の河川用水の利用等を計るため、数多くの県営用排水改良事業を計画し、一部は実施されましたが、局部的で全地域の用排水を改良するまでには至りませんでした。このため排水改良、耕地整理事業等の土地改良事業が制約を受け、農業生産の発展が遅れ、県内でも後進地域と言われていました。

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山武郡大網町地先苗代枯死の状況
(昭和15年度干魃)
昭和18年度事業計画書添付写真
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稲刈り後の田舟による運搬

icon 2.国営両総用水事業の経過



 昭和8年、昭和9年につづいて、昭和15年の大早害の被害が激しかったことから、千葉県は昭和15年と昭和16年の2年で、本地域の用水改良実施計画を樹立し、昭和16年県会の決議を得て、政府に事業の採択を要望しました。しかし、国は事業量が膨大で事業期間が長期にわたることを理由にこれを承認しませんでした。
 その後、農林省は本事業の必要性を認め県営事業よりも国営事業が妥当であるとしました。また一方、地元関係者と県会等の熱心な要望により、第二次大戦中にもかかわらず、第二次近衛内閣の承認するところとなり、国は農地開発営団に施行の代行を委任しました。農地開発営団は、昭和18年4月佐原市に事業所を設け、同年7月起工式を挙行されましたが、戦争中のため、資材難及び戦後のインフレにともなう種々の悪条件が重なり、一時事業の中止に至り地元関係者に一抹の不安をいだかせましたが、昭和21年9月公共事業として認められ、工事が再開しました。然しながら、昭和22年農地開発営団は閉鎖され、農林省直轄事業として引き継がれ事業は昭和23年度より堅実な進展を示すに至りました。特に、昭和25年度には一般会計事業費のほかに5億円の対日援助見返資金の投入を得て、排水事業の完成と、北部幹線用水路工事の進捗をみました。
 総事業費は当初1,986万円でありましたが、戦後のインフレの影響等により予算も年々増加し、特に南部幹線の路線の変更、施行年度の延長等により総事業費は6,059,000千円となり、昭和38年度末まで主要工事は完了し、計画変更を行いました。昭和39年一部追加工事を行ない、延々66,685mにおよぶ国営事業が完成し、昭和40年9月19日東金市で関係者が参列し盛大な竣工式が挙行されました。

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改修前の大須賀川
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大須賀川改修工事
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第1排水機場

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東金支線円筒分水工
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多古支線円筒分水工

icon 3.生まれ変わった両総~両総農業水利事業の概要~



(1)事業の目的
 昭和40年に完工した両総用水事業は、利根川沿岸の佐原地域を排水不良から救い、慢性的な水不足に苦しめられてきた九十九里平野を潤し続けてきました。しかし、両総用水は年々施設の老朽化が進み維持管理に関する経費が増高すると共に、農業経営の変化に対応した新しい施設の建設が求められるようになりました。
 このため、平成5年度に特に緊急的に整備を要する施設を対象として「施設更新事業」に着手しました。また、それ以外の施設についても老朽化が進んでいたため、施設全体の更新を行い農業用水の安定供給を図ることとし、平成10年度に事業計画の変更を行いました。改修により現況施設の機能維持・回復を図るとともに、農業者の減少や高齢化、米価の低迷等水田農業をめぐる厳しい状況にかんがみ、用水管理に係る労力・費用の軽減等、維持管理の合理化を図ることとし、広大かつ平坦な九十九里平野の受益地において、用水配分の適正化、用水到達時間の短縮、送水効率の向上を図るため、幹線用水路をパイプライン化及び2路線化にするとともに、集中的な水管理システムを導入しました。

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(2)事業の概要
 受益面積 17,970ha(水田13,560ha、畑4,410ha)
 主要工事 樋門1箇所、頭首工1箇所、揚水機場5箇所、用水路88.9km
 排水機場1箇所、排水路5.9km
 総事業費 108,900百万円(平成20年度時点108,000百万円)
 工 期 平成5年度~平成26年度

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(3)主要施設

①利根川両総水門
 九十九里平野と佐原地域の水田への農業用水と、水資源機構による房総導水路事業の都市用水を利根川から取水する施設です。また、利根川の水位上昇時に利根川からの洪水の流入を防ぐ機能もあります。

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②第1導水路
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 利根川より最大毎秒14.47m3の農業用水と3.0m3の都市用水を第1揚水機場まで導水する水路です。導水路の途中に第1制水門を設置し、洪水時の流入量を調節しています。


③第1揚水機場
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 利根川樋門より最大毎秒14.47m3の用水を取り入れ、第1導水路を経て、この機場で高台の北部幹線へくみ上げる施設です。用水は北部幹線で必要な量を受益に分水した後、栗山川に注水されます。くみ上げる高さは21mとなります。


④北部幹線用水路
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 開水路、トンネル、サイホンで構成されており、延長は約8kmあり、全延長のうち、トンネルは4kmです。房総導水路事業の3.0m3/secの増量分を含めて17.47 m3/secが流れます。トンネル補強増厚分の通水断面を確保するためにバイパス水路を造成して、複線化を図りました。栗山川に放流するまでの間5箇所に分水し、1,051.6haの水田に配水されています。


⑤第2揚水機場
 栗山川から用水を南部幹線用水路へくみ上げる施設です。第2揚水機場は両総用水施設全体の中央管理等を行うため、旧機場の用地では手狭であることから、新しい機場は、第2導水路の上流部に建設されました。

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⑥南部幹線用水路
 両総用水全体の中でも最長の約33kmにおよぶ用水路で、老朽化とともに、用水を無駄なく送水するためすべてパイプライン化し、既設の水路の中に埋設されました。特に昭和32年に完成した公平水路橋は、当時ではかなりの難工事であったといわれ、鋼製の水路橋でランガー桁式の水路自体を補剛桁として使用した形式の1スパン61m、5連橋の施設です。本事業により耐震補強がなされ、水路橋内にパイプを布設して再利用しています。

改修前
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改修後
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改修後の断面図

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⑦第3揚水機場
 栗山川からの用水を、南部幹線用水路と東部幹線用水路へ送水するために新設した施設です。
 一旦、高台にある吐水槽まで用水をくみ上げて幹線用水路に配分します。

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⑧東部幹線用水路
 南部幹線水路から分岐する新設水路で、東部幹線水路により末端への用水配分がスムーズに行うことができ、パイプライン化により用水管理も容易となります。

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⑨松潟堰
 一宮川に千葉県が昭和9~12年に建設されたもので、海水の侵入を防ぐ役目も果たしており、国営事業で全面改修されました。新しい堰は旧堰より約260m上流に移し、ゲートが3門あり、右岸側に舟通しを1門設置されました。 形式はゴム引き布製起伏堰で、堰高3.16m、堰長94.5mです。

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⑩中央管理所
 中央管理所は第2揚水機場内に設置されたもので、主要な施設の中で特に重要な施設について、集中監視制御(自動制御)を行います。集中監視にはテレメーター、集中制御にはテレコントロールが装備されています。

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⑪栗山川統合機場
 栗山川沿いの篠本機場、南条支線機場、芝崎機場、多古支線機場の4機場について、国営事業により統合し効率的な水管理に資する施設とするため新設されました。

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⑫山武東部支線機場
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 栗山川沿いに設置されている山武東部支線機場について、効率的な水管理に資する施設とするため全面改修されました。



⑬松潟揚水機場
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 一宮川沿いに設置されている松潟揚水機場について、効率的な水管理に資する施設とするため全面改修されました。



⑭第1排水機場及び排水路
 大須賀川・八間川の流域の変化や水田の営農条件が変化したことから、大須賀川・八間川の改修と併せて総合的に検討を行った結果、第1排水機場の能力を大幅に向上させた修としました。

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⑮支線用水路(国営施工)
 国営の事業規模を有している支線用水路8路線約21kmについて、管水路化の工事を実施しました。



(4)関連施設

①篠本堰
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栗山川統合機場等の取水堰
 多古町篠本地先に設置されている篠本堰は、約1,000haの水田にかんがい用水を供給する堰で千葉県により設置されました。機能診断の結果、国営事業により水門5門を改修しました。(2号・4号水門を改修、1号・3号・5号水門は再塗装)


 ②横芝堰
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 横芝堰は、栗山川の河口から約6キロメートルの上流にある堰で、もとは沿岸の農地のための小さな堰で戦後改築された後、両総用水事業で改修されました。現在の堰は、鋼製ゲート1門、ゴム引布製ゲート3門、魚道からなっており、二級河川栗山川水系栗山川改修事業の機能補償として、県土木により施工されました(平成14年~平成19年)。北部幹線から栗山川に注がれた水を、第2揚水機場でくみ上げられるよう、水位を調整するための施設です。



icon 4.房総導水路事業の実施



(1)事業の概要
 房総導水事業は、九十九里地域への水道用水と臨海工業地帯への工業用水の供給を目的として昭和45年度から平成16年度まで水資源公団(現水資源機構)により実施されました。
 事業内容としては、両総用水施設の一部(利根川樋門~第1揚水機場~北部幹線~栗山川)32kmを共用し、栗山川から長柄ダムまで35kmを公団専用水路で送水します。
 両総用水施設を共用することとしているのは、農業用水としての使用期間が3月から8月までの半年間の利用であり、あとの半年間について施設の有効利用を図る観点から昭和52年度から共同利用が始まっています。
 送水量は、九十九里地域への水道水1.00m3/s及び千葉市等への水道用水として0.4m3/s並びに千葉市から君津市に至る千葉臨海工業地帯及びその周辺地域の工業用水として7.0m3/sの合計8.4m3/sの都市用水を供給すること目的として、利根川本線から最大13.3m3/sを取水し、東金ダム、長柄ダムによる開発水を加えて必要水量を確保するものです。
 但し、かんがい期には、両総農業用水の必要水量に加えて、新規利水の3.0m3/sを同時に通水するために両総用水施設の一部を拡張する工事を実施しています。

(2)共同事業(多目的利用)の背景
 両総用水の幹線水路などの施設を多目的な共用ということが検討されることとなった背景としては、①昭和18年度着工の国営事業の完了の目途がたち、地元負担金の償還について考えなくてはならなかったこと②高度経済成長時代が続いており、千葉臨海工業地帯及びその周辺地域の工業用水の確保が問題となってきたこと③水資源公団が進めて来た印旛沼開発事業が竣工し、工業用水、上水に利用するために施設の多目的利用が進んでいたこと、などがあげられます。

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横芝揚水機場
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東金ダム

icon 5.地域用水機能



 歴史をつなぐ」農業用水は、潤いをもたらす地域用水として大切にされ、広く地域から親しまれています。

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