06:「もどす」

佐賀平野
▲佐賀平野のクリーク群(提供:水土里ネットさが土地)

有明海は最大6mという日本最大の干満差によって現在も広大な干潟が生じています。そして、この干潟は1年に10mの割で海に向かって広がっていきます。何千年にわたるこうした自然現象と、何百年に及ぶ人々の干拓によって、現在の佐賀平野が創造されました。平野の勾配は1/10,000という極端な平坦地です。現在、7mの堤防で守られていますが、堤防がなければ、満潮時には平野の1/3が海面下となります。川が少なくて、普段は水不足ですが、満潮時には自然排水が困難となり、少しの雨で湛水となります。
この平野では、昔から渇水と洪水の闘いが繰り返されてきました。そして、様々な工夫で高度な水のシステムを築き上げてきました。例えば、満潮時、川は逆流し、水かさが上がります。海水は比重が重いので、川の表流水をすくえば田の用水として使用が可能です(地元では、淡水取水と呼んでいます)。
上の写真にある“クリーク”は、そうして得た水や雨水、川の水をためて、繰り返し使うための工夫です。用水路であり、渇水時のため池であり、地域用水であり、洪水時には排水路ともなります。水の苦労によって生み出された、先人の偉大なる遺産とも言えます。


佐賀平野
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