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01

 士族授産のために政府が採用した方策には国営の開墾から、製糸、紡織、製糖、マッチ製造、牧畜、製茶、セメント製造などへの助成等々、様々なものがありますが、大きくは以下の4種に分類されます。


1.開墾と移住の保護奨励

 内地の殖民・開墾(国営と助成)と北海道の移住・開拓

2.授産資金の貸与

 士族団体や結社に事業資金を有利な条件で貸与

3.就産資金の譲与

 家禄の返納と交換に就産資金を下付(譲与)

4.国立銀行の設立

 確実な投資の対象、士族事業に対する金融への途


02

 この中で、政府が最も力を入れ、長期間にわたって(明治23年まで)実施されたのが開墾・移住の奨励と授産資金の貸与でした。これは士族を救済するという目的の他にも、無産階級かつ知識階級でもあった彼らを生産関係の中へ押し出し、当時の政府が強制的に移植しつつあった資本主義社会の早期実現、すなわち殖産興業を目指す意図も含んでいました。

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