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平成9年のコンピューター解析図は、現在の新潟平野が、平安時代、あるいは江戸初期の頃と基本的には大地の形状が 何ら変わっていないことを教えてくれた。 この解析図に、市街地のビルや住居、道路や鉄道を書き込めば、実際の新潟平野の姿になる。 しかし、繰り返すが、大地の形状は同じ。昔“地図にない湖”と呼ばれた約1万ヘクタール(東京都4区分)の地域は 今も海抜0メートル以下のままなのである。


新川河口排水機場、新井郷川排水機場、親松排水機場、白根排水機場・・・。 一般の方には馴染みはないが、新潟平野には沢山の農業排水施設がある。もし、これらが停止すれば、JR新潟駅や周辺 繁華街を含む約2万ヘクタールという広大な土地は水没する


ちなみに、上記の4施設の排水量は毎秒450m3。これは日本一の大河・信濃川の平均流量450m3/sと同じであ り、利根川(平均流量240m3/s)の約2倍に相当する。実に、日本一の大河に匹敵する働きを、上記4施設だけで果たしていることになる。


言葉を変えれば、新潟平野は、農家の造った施設である排水機場で24時間強制排水を行うことにより、人工的に、かろうじて平野たりえている。


新潟平野は“農”が造った。そして今も“農”によって支えられているのである。


*新潟平野の農地約10万haの半分、約5万haは農業農村整備である「かんがい排水事業」により乾田化されたもの である(5万haは新潟市の面積の2.5倍,東京23区の面積にほぼ匹敵)。 蛇足ながら、現在の土地価格に換算すると農地換算で約3兆円、宅地換算では15兆円に相当する。言い方を変えれば、 東京23区に匹敵する広大な土地が「かんがい排水事業」により創出されたことになる。


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●新潟平野の強制(機械)排水区域

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